Page 15 - 神戸フィルムオフィス20周年記念
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 達から「過ぎし日のセレ
ナーデ」という神戸でロ ケされたテレビドラマを教えて もらった、まさにその日に、「神 戸でロケされたドラマとCM」 についての原稿を依頼されたの で驚いた。 「過ぎし日のセレナーデ」は田 村正和が主演したスケールの大 きな恋愛ドラマで、1989年の 秋からフジテレビ系列で2クー ルに渡って放映された。廃墟に なってちょうど20年目くらい の摩耶観光ホテル、今も営業を 続ける茶房ジャヴァ、和田岬線 の車内、摩耶ケーブルなど、バ ブル全盛期、阪神・淡路大震災 前の神戸の風景がこれでもかと 映し出される。小さな川にかか った橋で出入りする特徴的なア パートも特定できた。よっぽど 近所の住人か、私のように用も ないのに神戸をうろうろしてい る人間にしかわからない場所だ ろう。  などと、偉そうに書いている が、その断片をYouTubeで観て いるだけで、ドラマ本体はまだ 観ることまでは出来ていない。  ここからは21世紀の、すな わち、神戸フィルムオフィスと 関わる作品の話。アーカイヴと いう視点において、映画と比べ るとドラマは圧倒的に軽視され ている。最初はNHKの単発ド ラマとして放映され、のちに劇 場版映画として公開された「そ の街のこども」などは例外中の 例外だろう。
 神戸フィルムオフィスのエキ ストラに登録している。テレビ 朝日のドラマスペシャル「砂の 器」では、佐々木蔵之介扮する 作曲家がオーケストラの指揮を するシーンの観客のひとりとし て参加した。11年の東北の地 震で放映がかなり遅れたのが記 憶に残っている。  NHK朝の連続テレビ小説「べ っぴんさん」では1970年の大 阪万博のシーンが六甲アイラン ドの神戸ファッションプラザで 撮影されていた。実際に万博を 体験したものとして、これには 参加したかったが、都合があわ ずに断念。テレビの前で涙をの んだ。  エキストラとは別だが、サン テレビ初制作連続ドラマ「元町 ロックンロールスウィンドル」で は、映る景色のすべて、ロケ地 がわかるという不思議な体験を した。同時に神戸以外でロケさ れたシーンでは、あ、尼崎の三 和市場! と鋭く反応した。  三浦友和が出演する福屋不動 産のCMで、灘丸山公園でロケ していることに気づいたときは 嬉しかった。ここもまた、近所 の住人か、神戸をうろうろして いる人間にしかわからない場所 だ。ビーナスブリッジにひけを とらない穴場の有効利用に、さ すが、と唸った。
やすだけんいち●1962年、神戸生まれの神戸 育ち。ロック漫筆家で、エキストラ要員。「神 戸でロケされた映画」についての話は著作『神 戸、書いてどうなるのか』(ぴあ)にいくつか 入っています。新刊は『ライブ漫筆(』誠光社)。
 Kobe on TV
013
テレビで見た神戸 文:安田謙一(ロック漫筆)
友



























































































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