Page 4 - 神戸フィルムオフィス20周年記念
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わたしと神戸フィル
Y u t a k a Mizutani
Actor/ director
自転車で激走する水谷さんの姿が映し出 されましたね。  僕は、『少年H』のときにもロケで神戸に 伺いましたけど、俳優の仕事だと自分の内 側に入りこまなきゃいけないので、周囲の 細かなところまで神経がいかないところが あるんです。それはたぶん、一般の方の日 常生活もそういうもので、普段暮らしてい るなかでは建物や街のことをそこまで意識 されないと思います。生きること、生活す るというのはそういうことですから。ただ、
──『轢き逃げ 最高の最悪な日』*1を
神戸で撮影された経緯を教えてください。
 僕が書いた脚本では、ある地方都市と
いう設定にしていたんですが、撮影にあ
たって、撮影監督の会田(正裕)さん*2
に相談をしたところ、すぐに「神戸でど
うですか」って話になったんです。すると、
いろんなイメージが湧いてきて、たしか
に神戸がぴったりだなと。それから、神
戸のイメージにあわせて脚本も書き足し
ました。
──神戸ロケが映画作品に反映したとこ 『轢き逃げ』のときは監督という立場でした
 ろもありましたか。
 ロケの候補地としていろんな神戸の場 所を見せてもらって、使わないのがもっ たいないくらいでしたけど、もちろん、 映画の尺には限りがありますから使う場 所を決めなきゃいけない(笑)。特に印 象的だったのは、大企業のオフィスで撮 影ができればと考えていたら、これぞ一 流企業というビル(Asia One Center) 内で撮影ができたこと。映画のラストシ ーンで使った六甲山中腹にある、神戸の 住宅地からオフィス街、海まですべてが 見渡せる場所(六甲ロケーションスタジ オ)というのも、自分の頭の中で思い描 いていた以上のロケ地でした。あとは、 港の赤い橋(神戸大橋)。あの橋を見た らどうしても自転車で渡りたいと思っち ゃいますよね(笑)。 ──実際、『轢き逃げ』では神戸大橋を
から、あらためて客観的にいろんな神戸を 見ることができたんだろうなと思います。 ──カメラを通してみる神戸はまた違っ たものでしょうか。  カメラというのはとてつもなく寄って みたり、引いてみたりできますよね。そ ういったカメラの力も借りることで、街 の魅力にあらためて気づくということは ありますね。神戸だと昼から夜への時間 の移り変わり。これはいいものだなと思 います。 ──フィルムオフィスの役割や意義につ いて思われるところを教えてください。  神戸フィルムオフィスが神戸の街です でに信頼を築かれている、その信頼関係 の上で私たちが撮影することができるの は、とても大きなことだと思います。僕 自身、次なる神戸とのご縁がなにかない だろうかとまた思っているところです。
*1 映画『轢き逃げ 最高の最悪な日』 は、水谷豊が監督・脚本・出演を 務めた2019年公開作。東映配給。
*2 会田正裕氏はドラマ「相棒」シリ ーズをはじめ、水谷豊の主演した 神 戸 ロ ケ 作 品 『 少 年 H (』 2 0 1 3 ) で も撮影監督を務めている。
  ム
水谷豊さん
俳優/監督
みずたにゆたか◎1968年『バンパイヤ』で初主演。 2000年から続く「相棒」シリーズは国民的刑事ドラ マに。2019年、2作目となる監督作、映画『轢き逃 げ 最高の最悪な日』は神戸ロケを中心に完成させた。










































































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