Page 7 - 神戸フィルムオフィス20周年記念
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 旧グッゲンハイム邸は建物を多様に活用していま すが、中でも映画やドラマのロケは建物を尊重し、大 事に使ってくださりありがたいです。古い建物なので 経年劣化が多く見られますが、その積み重なってきた 傷跡のようなものもそのまま使われているとうれしく なります。13年前に廃墟状態だった旧グッゲンハイ ム邸を初めて目にした時、「黒沢清がここでホラー映 画を撮ればいいのに」と話すような僕ら夫婦なので、 その黒沢監督がこの建物を気に入って、『スパイの妻』 *5で大々的に使ってくださったのは最近いちばんう れしかったこと。劇中での使われ方にも最大限のリス ペクトを感じました。
ALI Morimoto
Manager
神戸・塩屋にある旧グッゲンハイ
ム邸は明治末期の洋館。『繕い裁
つ人』では結婚式場として使われ、 *5 黒沢清監督が戦前の神戸を舞台に8K撮影に挑んだ作品。旧 アリさんも神父姿でカメオ出演。 グッゲンハイム邸は主人公の貿易商夫妻の邸宅として登場。 上はそのときの衣装。 劇場公開は2020年10月。
     大がかりな撮影になると、交通規制をかけなければい けない範囲も広くなるので、地元の調整も大変になりま すけど、そこはKFOがよくやってくれているなと感じて います。ひとつの撮影を実現するためだけでも、いろん な細かい調整が必要になるので、KFOの担当者には事前 に何十回と足を運んでもらうことも少なくありません。 それでも撮影現場では何が起きるか予測しきれない。 ほんとにダメな状態になったときには、警察と制作会社 との間に立って、KFOの方から撮影中止を申し入れてく れることもありました。街に一度迷惑をかけてしまうと、 その撮影はなんとか完了できたとしても、その場所では もう二度と撮れなくなってしまいますからね。
Yasushi Hirose
Police officer
撮影機会の多い三宮~旧居留地は生田署の 管轄内。撮影にともなう交通整理、道路封 鎖などの申請取扱は交通課が手がける。
    TSUYOSHI ITOh
General Manager
作品のロケ地としてだけでな く、キャストやロケ隊の宿泊場 所としても人気のホテル。2003 年公開の『ラストサムライ』撮影 時にはトム・クルーズ*6も宿泊。
 お正月明けに深夜のロビーでジャッキー・チェンさん が『新宿インシデント』の暗殺場面を撮影したり、『アウ トレイジ』の撮影では、スーツを着ていた私もその場でエ キストラとして出演させていただいたり(しっかり画面に 映っていましたので、私のカンヌデビュー作となりまし た(笑)と、個人的な思い出はたくさんありますけど、ホ テルとしては、100人規模のロケ隊に1~ 2か月ほど滞在 いただけることがあるのはとてもありがたいことです。 何台もの大型車両やロケバスを駐車いただく敷地をご用 意できるというのも、当ホテルの利点だと思いますので、 今後も神戸へのロケ誘致に協力させていただきます。
*6 トム氏は撮影場所となる姫路までポートアイランドのヘリポ ートからヘリで通ったという。
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旧グッゲンハイム邸 管理人 森本アリさん
神戸ポートピアホテル 総支配人 伊藤剛さん
生田警察署 交通課 廣瀬簡賜さん
















































































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