Page 12 - 神戸フィルムオフィス20周年記念
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896( 明 治29)年、11月25日、神 戸・
花隈にあった社交機関、神港倶楽部 にて、日本で初めて映画(活動写真)が公開 された。エジソン社が開発したのぞき箱式 の「キネトスコープ」を実業家、髙橋信治が 購入し、一般公開。ここから日本のどこより も早く、神戸と映画の深い関係は始まった。   幕 末 の1868年1月1日( 慶 応3年12月7日 )、 徳川幕府の最後の将軍、徳川慶喜が神戸港 を開港。その翌々日に明治新政府が発足し、 まさに時代の変わり目から神戸の街作りは 始まり、外国人居留地が作られた。エキゾチ ックな街並みは早い段階から映画のロケ地 に使われた。例えば神戸映画資料館で収蔵 管 理 す る 1 9 2 7 年( 昭 和 2 年 )製 作 の『 黄 金 の 弾丸』は殺人事件の謎を追う探偵もの。終盤、 旧居留地でのカーチェイスが繰り広げられ る。ハードボイルドが似合う街並みは今も 変わらない。北野武監督はヤクザの血で血 を洗う抗争を描く『アウトレイジ ビヨンド』
(2012)で車からの銃撃シーンを撮り、井筒 和幸監督は銀行強盗劇『黄金を抱いて翔べ』
(2012)で狙われる銀行本店として1939年完 成の神港ビルヂングを選んだ。  さて、ここからはストーリー上、神戸が舞 台であることが重要な作品を紹介しよう。  戦争中の神戸を描いた『火垂るの墓』(日 向 寺 太 郎 監 督 / 2 0 0 8 )と『 少 年 H 』( 降 旗 康 男監督/ 2013)。原作者の野坂昭如と妹尾 河 童 は 共 に 1 9 3 0 年( 昭 和 5 年 )生 ま れ で 、中 学3年生という多感な時期に神戸空襲を経験 した。海と山に挟まれ、東西に広がる神戸の 地形はアメリカ軍によって実験的焼夷弾攻 撃の地として選ばれ、1945年に128回もの空
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文:金原由佳(映画ジャーナリスト) スクリーンに映された神戸


























































































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