Page 14 - 神戸フィルムオフィス20周年記念
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 Report
ロケ現場 レポート!
文/田辺ユウキ
グランドジャンプで連載されていた人気
漫画を、福士蒼汰主演でドラマ化した 「DIVER-特殊潜入班-」*1。撮影は、物
語の舞台にもなっている神戸を中心に 行われた。今回、レポートのために潜りこ んだのは、旧加藤海運本社ビル*2だ。
某月某日
撮影本隊が旧加藤海運本社ビルに到着。数台 のワンボックスカーの荷台には撮影機材が所 狭しと積み込まれており、数名のスタッフたち が手早く降ろし、ビル内へと運び込んでいく。 出入り口では感染予防対策として、入館者全 員に手指消毒液を噴きかけていく。
   休憩する間もなく監督は各スタッフと打ち合 わせに。福士蒼汰演じる黒沢兵悟が診療室を 訪れる場面の撮影だが、カメラのアングルな どを調整するため、机の位置を何度も直す。 このシーンの背景に映るタイルの壁は、同作 の撮影のためだけに作られたもの。
   作品台本は常に肌身離さず、何度もページを めくったりするため、ごわごわに。エアコンが ない蒸し暑い室内で、出演者、スタッフもマ スク、フェイスガードを必着しているため、腕 まで汗だく。全員が「いいドラマを作るため」 という気持ちで必死に仕事をしている。
 撮影直前、現場は慌ただしさを増す。と、こ こでスタッフから「電源が簡単に落ちてしまう ので、電気を安易に使わないように!」と呼び かけられる。また、この日の撮影には医療監 修をつとめる医師も参加して、医者役の片瀬 那奈を指導。なめらかな手つきを見て、医師 は笑顔で「これならバイトできる!」と太鼓判。 そのひと言で現場の緊張がやわらいだ。
 何もなかった部屋も、監督らが撮影の様子を チェックするモニタールームへと早変わり。業 界用語で「ドライ」と呼ばれるリハーサルを 何度かおこなって、「じゃあ、本番」の掛け声。 するとスタッフたちが「本番!」と口々にして いく。その声は外にいるスタッフにまで届けら れる。映像の撮影現場ではちょっとした物音 でもマイクが拾うので、注意喚起の意味も。 そして、監督の「よーい、スタート!」の声が あがる。
*1 「DIVER-特殊潜入班-」は、カンテレ・フジテレビ系 全国ネット2020年9月22日夜9時スタート・全5話。 *2 1936年に建てられた旧加藤海運本社ビルは、数多く
のロケ撮影に使われてきた。本来は、撮影前の状態 に戻す原状復帰が鉄則だが、ここでは撮影時の美術 や小物の一部が手付かずで残されている。たとえば、 メインルームの床は、ドラマ「The Outsider」の撮影 で大理石状に替えられ、その後、『スパイの妻』の撮 影でリメイクしたものが今の状態に。
  




















































































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